愛知県額田郡幸田町の歯医者 うおずみ歯科クリニック 歯科医師 院長の魚住 大樹です。
歯周病は歯茎の病気として知られていますが、実は全身の健康にも深く関わっています。その中でも高血圧は、歯周病と関連のある病気の一つです。これらの関係性を理解することで、口腔ケアの重要性をより一層認識することができるでしょう。
歯周病は歯周組織、つまり歯を支える骨や歯茎の感染症です。歯垢(プラーク)という細菌の塊が歯茎に炎症を起こし、最終的には歯が抜けることもあります。早期の段階では「歯肉炎」として現れ、炎症と出血が主な症状です。進行すると「歯周炎」となり、歯を支える骨が溶け始めます。痛みが少ないため放置されがちですが、早期の治療が重要です。
また、歯周病は口の中だけでなく、全身の健康にも影響を与えることが研究により明らかとなっています。このため、口腔ケアは全身の健康管理の一環として考える必要があります。
歯周病と高血圧が関連しているという研究結果があります。歯周病患者は高血圧のリスクが高くなる可能性が指摘されています。歯周病により体内で炎症が起こると、血管に影響が及び、血圧が上昇する可能性があるとされています。
特に、歯周病による慢性的な炎症は、動脈硬化を引き起こし、高血圧の原因となることがあります。このため、歯周病を放置すると、心臓病や脳卒中など高血圧が関連する重篤な病気のリスクも上昇する場合があります。日常的な歯周病のケアは、全身の健康を守るために欠かせません。
歯周病の治療には、スケーリングとルートプレーニングが一般的です。スケーリングは歯石やプラークを除去する工程で、ルートプレーニングは歯根の深部を滑らかにし、再び歯石がつきにくい状態を作る治療です。この治療により、歯茎の炎症が軽減され、血圧にも良い影響を与える可能性があります。
さらに進行した場合は、歯周外科(フラップ手術)が必要となることもあります。この手術では、歯茎を切開して奥深くまで清掃し、感染組織を取り除きます。一方で、経済的な負担も考慮する必要があり、治療費は治療内容によって異なりますが、初期の治療であれば保険適用で数千円から治療が可能です。特に重度の場合は、追加の治療が必要となることもあります。
歯周病治療と並行して、生活習慣の見直しも重要です。高血圧のリスクを下げるためには、塩分の摂取を抑えることが効果的です。塩分の多い食事は血圧を上昇させますので、バランスの取れた食事が大切です。また、定期的な運動も欠かせません。運動は血圧を下げるだけでなく、ストレスの解消にも役立ちます。
アルコールと喫煙は高血圧の大敵であり、歯周病を悪化させる要因でもあります。できるだけ控え、規則正しい生活リズムを心がけましょう。これらの改善は、歯周病の再発を抑え、高血圧のリスクを軽減します。
予防が最も重要です。毎日の口腔ケアとしては、歯磨きとフロスを用いた歯間の清掃が必要です。また、定期的な歯科健診を受けることで早期発見・早期治療が可能となります。歯磨きは1日2回、2分以上かけてしっかり行い、柔らかいブラシを用いると歯茎を傷つけずに磨けます。
特に、お子さまや高齢者は自分でのケアが難しいことがあるため、周りの家族のサポートが必要です。健診の際には、歯科医に相談し、適切なケア方法を指導してもらうことも大切です。
歯周病と高血圧は密接に関連しており、歯周病を適切に管理することは全身の健康を保つために重要です。早期発見と適切な治療を受けることで、歯周病による高血圧のリスクを軽減できます。また、生活習慣の改善と予防策を講じることにより、さらなる健康被害を防ぐことができます。健康な生活を維持するために、口と体全体のケアを怠らないようにしましょう。