愛知県額田郡幸田町の歯医者 うおずみ歯科クリニック 歯科医師 院長の魚住 大樹です。
最近、睡眠時無呼吸症候群という言葉を耳にすることが増えましたが、多くの方が具体的になにを指しているのか、どのような治療が可能なのかを知らないかもしれません。特に、歯科医院で行うマウスピース治療には、大きな関心が集まっています。本記事では、睡眠時無呼吸症候群についての基本的な知識から、歯科で行うマウスピース治療について詳しく解説します。
睡眠時無呼吸症候群(SAS: Sleep Apnea Syndrome)は、睡眠中に呼吸が何度も停止または浅くなる症状を指します。この状態が続くと、酸素が十分に供給されずに体にさまざまな悪影響がもたらされます。具体的には、日中の過度な眠気、集中力の低下、高血圧、心臓病、ストレスの増加などがあります。
この症候群は特に中年から高齢の男性に多いですが、女性や子供にも影響を及ぼすことがあります。また、肥満や喉の筋肉の弛緩、鼻や喉の閉塞などが原因として考えられています。症状がひどい場合は、家庭や職場での生活の質を大きく損ねることになりますが、治療を行うことで多くの場合、症状の改善が見込めます。
歯科医院で行うマウスピース治療は、通称「オーラルアプライアンス」または「スリープアプライアンス」とも呼ばれます。これらのマウスピースは、下顎を前方に固定することで、気道の幅を広げ、呼吸の改善を図ります。これは、いびきや呼吸停止を減少させるために非常に有効です。
マウスピース治療の利点は、非侵襲的であり、手術などと比べてリスクが低いことです。また、自宅で簡単に使用できるため、多くの患者にとって受け入れやすい選択肢となります。加えて、他の治療法と組み合わせることで、さらに効果を高めることが可能です。
まず、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、専門医に相談し、正式な診断を受けることが重要です。その後、歯科医院での具体的なマウスピース治療が開始されます。一般的な流れとしては、以下の通りです。
マウスピース治療には多くのメリットがありますが、デメリットも存在しますので、両方を理解することが重要です。
メリット:
デメリット:
マウスピース治療は、個々の患者の状態によりますが、通常、数ヶ月から一年程度が一般的です。初期の段階では、毎日数時間から始めて、徐々に使用時間を延ばしていきます。定期的なチェックアップが必要で、特に初期段階では頻繁に歯科医院を訪れる必要があります。
費用については、使用するマウスピースの種類や患者の個々の状況により異なります。一般的には、保険適用の範囲内で行われる場合と、適用外の高機能なマウスピースを選択する場合があります。前者は数千円から数万円程度、後者は数万円から十数万円程度が目安です。
マウスピース治療を始める前に、いくつかの重要な点を理解しておくことが重要です。まず、全ての患者にとって最適な治療法であるとは限らないことです。特に重度の睡眠時無呼吸症候群の場合は、他の治療法と併用することが推奨される場合があります。
また、長期間の治療を要するため、日常生活の中で計画的に取り組む必要があります。初期の違和感や装着感の問題は忍耐が必要ですが、慣れるまでの期間を取ることが大切です。
さらに、自費治療の場合は費用の面でも準備が必要です。費用に関しては、歯科医院で詳細な見積もりを取り、治療の流れや支払い方法についてよく理解しておくことが重要です。これにより、治療に対する不安を減少させ、安心して取り組むことができるでしょう。
睡眠時無呼吸症候群は、日常生活に大きな影響を及ぼす深刻な症状ですが、マウスピース治療を利用することで多くの患者が改善を実感しています。歯科医院でのマウスピース治療は、手軽でリスクが低く、多くの人にとって非常に有効な治療法です。ただし、個々の患者の状況によって適応が異なるため、専門医との相談を十分に行い、最適な治療プランを選ぶことが重要です。治療を継続することで、健康で快適な生活を取り戻すことができるでしょう。